2012年8月29日から9月9日まで開催されたロンドンパラリンピック。車いすテニス女子シングルスで上地結衣(兵庫・明石商3年)=兵庫・大久保中出身=は、初出場ながらベスト8進出を果たした。体の小ささを戦略でカバーし、準々決勝では世界ランキング2位の選手と互角に戦った。(木和田志乃)

上地は先天的な潜在性二分脊椎症で、生まれつき両足にまひがある。幼いころは歩けたが、10歳になると体重を支えられなくなり、補装具無しで歩くことが難しくなった。同じころ、姉が中学で始めたソフトテニスに興味を持った上地は、11歳から車いすテニスを始めた。

もともと運動が得意だった上地は、徐々に頭角を現す。2007年、中学1年で出場した全日本選抜車いすテニス選手権で準優勝し、翌年からは4連覇を果たす。09年から海外の大会に出場するようになり、次第にロンドンパラリンピックへの出場を意識するようになった。

練習は週3回、地元の車いすテニスの選手らと兵庫県内で行うほか、昨年からは週1、2回、戦術を学ぶために大阪府南部まで通うようになり、強烈なスピンショットを習得した。上地は「車いすの選手は高い打点でボールを捉えるのが苦手。だから球を高く弾ませ、相手からの返球が甘くなったところを攻める展開に持ち込みたい」と語る。

パラリンピックには「初出場なので楽しみたい。できることを目いっぱいやりたい」という思いで臨んだ。準々決勝の相手は世界ランキング2位、アニク・ファンクート(オランダ)。第1セットはタイブレークに持ち込み、第2セットも一時は3ゲームリードするなど善戦したが、6-7、5-7で敗れた。しかし「今回は次のプレーを頭の中で組み立て、落ち着いてできた。今の自分にできることはやりきった」と晴れやかな表情で振り返る。実はパラリンピックの前まで、テニスをやめたいと思っていた。「多くの方々に支えられているのが重荷でした。でも今は、どうしたらもっとうまくなれるか常に考えている。終わってみて、私はこんなにテニスが好きだったんだって、あらためて気付きました」

4年後、リオデジャネイロパラリンピックでさらに上位を目指す。

かみじ・ゆい
1994 年4 月24 日、兵庫県生まれ。11 歳から車いすテニスを始める。左利き。全日本選抜車いすテニス選手権シングルス4 連覇中。2012 年全仏オープン車いす部門女子ダブルス準優勝。9月24 日現在、国際テニス連盟世界ランキング11 位(最高位6 位)。143センチ、43キロ。

◆一口メモ◆

趣味 読書

好きなアーティスト globe(iPod に全曲入っています)

好きなタレント いない(テレビを見る時間がないのでよく分からないのです)

試合前の過ごし方 洋楽を聞いて集中(日本語だと一緒に歌ってしまうのでダメ)

リラックス法 とにかく人と話す。同級生と休み時間や放課後に話すのが「一番大切な時間」

好きな教科 英語

進路 迷っている。「英語もフランス語もドイツ語も学びたいが、テニスのできる環境を優先して決めたい」