米子工業高専の河本幸樹君(右)と森誠貴君

高校生の自主制作映画作品コンテスト「高校生のためのeiga worldcup2016」(NPO法人映画甲子園主催)の表彰式が11月20日、青山学院大学で実施された。最優秀作品賞には、自由部門・地域部門ともに米子工業高等専門学校(鳥取)が選ばれた。
(文・写真 中田宗孝)

今年で3回目を迎えた同大会の自由部門には、全国の高校から63本の映画作品がエントリーし、1次審査を通過した37作品が各賞を決める最終審査に進んだ。

ラブコメに挑戦「憧れの先輩、振り向かせたい」

自由部門・最優秀作品賞には、米子工業高専放送部の「妄想したってイイじゃない!」が選ばれた。憧れの先輩を振り向かせるために奮闘する3人の女子高校生を描いた青春ラブコメディー。最優秀女子演技賞に輝いた升田乃愛さん(1年)は自然体の演技が審査員から高く評価された。監督の河本幸樹君(2年)は優秀監督賞を受賞した。

作品は放送部に所属する有志10人が夏休みをかけて完成させた。校外での撮影が多く、撮影以外にもロケ地決めや移動などで苦労が多かった。「撮影がハードな時もチームワークを発揮して乗り越えた。それが結果につながって良かった。来年も新しい作品を撮って応募したい」(河本君)。地域部門でも、同校放送部の森誠貴君(3年)が監督した「雲を恋う」が最優秀作品賞を獲得した。

「妄想したってイイじゃない!」より(映画甲子園提供)

文化祭のリベンジ「新しい道切り開く大切さ伝えたくて」

 自由部門・優秀作品賞を受賞したのは、戸山高校(東京)3年C組の「プロットツイスト」。元々は同校で9月に開催された文化祭で上映するために制作された作品。文化祭に来場した客からは好評だったが、校内で賞をもらえなかったことに悔しさが残り、完成作品を編集し直して今大会に応募した。

 物語は人生を勝手に決めようとするナレーションにあらがう男子高校生を描いた学園ドラマ。最優秀監督賞も受賞した寺本清香さん(3年)は「作品を通して、誰かに言われたとおりの人生よりも、自らの意志で新しい道を切り開いていく方が大切だと問題提起しました。作品が面白いと認められて本当にうれしい」と、笑顔をみせた。

「プロットツイスト」より(映画甲子園提供)
戸山高校の3年C組 戸山高校の3年C組

 

中学生から映画部のコンビが描く、青春ストーリー

 

自由部門で最優秀企画賞、最優秀撮影賞、最優秀編集賞を受賞したのは、国府台女子学院中学部・高等部(千葉)映画部の「アドレッセンス」。思春期を迎えた双子の女子高校生の、それぞれの葛藤を描いた青春ストーリーだ。同じシーンを2台のカメラを使って同時撮影し、二つの映像を巧みに編集する高度な技術が審査員から絶賛された。

監督を務めた大島七星さんと松浦京花さん(共に高等部2年)は、中高一貫校の同校で中学生の時から映画部に所属。その頃から友人で演劇部の川脇澪音さん(高等部2年)と一緒に映画づくりをしたいと考えていて、今作で川脇さんを含む演劇部員に役者として参加してもらい、長年の思いを実現させた。

「アドレッセンス」より(映画甲子園提供)
国府台女子学院高等部の大島七星監督(左)と演劇部の川脇澪音さん

 


高校生のためのeiga worldcup2016
<自由部門>
最優秀作品賞「妄想したってイイじゃない!」(鳥取・米子工業高等専門学校 放送部)
優秀作品賞 「The Other Side」(愛知・昭和高校 映画研究部)
優秀作品賞 「プロットツイスト」(東京・戸山高校 3年C組)


最優秀女子演技賞 升田乃愛(鳥取・米子工業高専1年)
最優秀女子助演賞 斉藤百音(埼玉・芸術総合高校3年)
最優秀男子演技賞 柴田豪人(愛知・昭和高校1年)
最優秀男子助演賞 オースティン・アンジェロ(東京・国際高校2年)


最優秀企画賞・最優秀撮影賞・最優秀編集賞 「アドレッセンス」(千葉・国府台女子学院中学部・高等部 映画部)
最優秀監督賞   寺本清香(東京・戸山高校3年)
最優秀脚本賞 「妄想したってイイじゃない!」(鳥取・米子工業高専 放送部)
最優秀音楽賞 「青ざむらい」(神奈川・藤沢清流高校 堀組)

<地域部門>
最優秀作品賞 「雲を恋う」(鳥取・米子工業高専 放送部)

<ダンスミュージック部門>
最優秀作品賞 「Artifact(fever)」(和歌山・りら創造芸術高校 映像部)