夙川学院の主将・岡田萌(右)=準決勝

■第39回全国高校柔道選手権・女子団体(3月20日、東京・日本武道館) 3人制点取り方式で行われた女子団体の決勝は、夙川学院(兵庫)が大成(愛知)に、1-1ながら内容差で上回り、初優勝を果たした。(文・写真 小野哲史)

阿部「自分が勝たないとチームが乗れない」

「自分が勝たないとチームが乗れない」と、個人戦52キロ級の覇者・阿部詩(1年)が先鋒として初戦から5試合で全勝し、チームを勢いづけた。夙川学院の作戦は、阿部と中堅に入る岡田萌(2年)で2勝し、早々に勝負を決めてしまうこと。吉峰芙母絵や長谷川瑞紀(ともに1年)は、ライバル校の大将と比べると体格面でやや劣るという事情があったからだ。

岡田は昨年のインターハイで準優勝し、今大会の個人戦は有終候補に挙げられながら、「前に出るという自分の柔道がまったくできなかった」と、まさかの3回戦敗退。大きな悔しさを味わった。それでも主将として翌日には気持ちを切り替えた。

「チーム戦なので、みんなのために。優勝を勝ち取るのは今しかないと思って、今まで(松本純一郎)先生から教わったことをすべて出そうと思いました」

4回戦の帝京(東京)戦と、準決勝の敬愛(福岡)戦は、いずれも豪快な大腰が決まって一本勝ち。決勝は引き分けに終わり、会心の内容で締めくくることはできなかったが、「優勝できたことは素直にうれしい」と笑顔を浮かべ、チームメートと喜びを分かち合った。

「3冠」狙う

岡田はチームでただ1人の2年生。頼もしい後輩の存在が刺激になっているという。

「強い1年生が多いので、毎日、良い練習ができています。私がまとめるというよりは、みんなで頑張ろうという感じで、私が苦しいときも支えてもらっています。阿部のシニアでの活躍もうれしかった」

表彰式後、松本監督を高々と胴上げした夙川学院の選手たち。大会最優秀選手に選出された阿部や岡田を中心に、これから「高校3冠」への挑戦が始まる。

女子団体で初優勝した夙川学院