モリンガール」としてクッキーを開発した左から三須さん、阿蘇さん、井上さん

東京・順天高校の2年生3人は、フィリピン産の食材「モリンガ」を使ったクッキーを開発し、バレンタインデーに向けて校内で販売した。食べた感想を聞いて完成度を高め、ゆくゆくはクッキー販売の売り上げの一部をフィリピンに還元することを目指している。
(野村麻里子)

モリンガクッキー。口に入れるとモリンガの風味が優しく広がる

栄養満点、認知度ほぼ100%

フィリピンの食べ物をSGHの研究課題にしようと考えた阿蘇理子さん、井上鈴菜さん、三須葉月さんの3人は、モリンガに注目した。熱帯や亜熱帯に生息する樹木で、栄養価が高い「スーパーフード」だ。

昨年9月に海外研修でフィリピンを訪問。現地でモリンガについてインタビューをしたところ、認知度はほぼ100%で、週1回以上食べる人が60%、毎日食べる人も15%いた。健康維持や栄養価の高さを理由に食べられている、なじみのある食材だと分かった。

乾燥させて茶を作ったり、葉を混ぜた卵焼きのサンドイッチを子どもたちに振る舞ったりして味への理解を深めた。「モリンガは、フィリピンの庭や道路脇など至る所に生えている。特産品として知られていないのがもったいないと思った」(三須さん)

フィリピンの道路脇に生えるモリンガ(学校提供)

夢は会社設立

日本でモリンガが普及すれば、フィリピンで雇用を生み出せるだけでなく、日本人の健康促進を図れると考えた。高校生の今、できることを模索した。「手に取りやすいお菓子の開発が思い浮かんだ」(阿蘇さん)

まず、高校生にモリンガを広めていくことを目指した。学校近くの洋菓子店にクッキーを作ってもらい、2月、校内で昼休みにバレンタイン用として1袋2枚入り100円で販売。短時間にも関わらず初日に100個が完売した。

今後は、味の感想や意見を聞いて改良する予定。クッキー販売でモリンガの知名度を上げると共に、売り上げの一部をフィリピンに還元するのが目標だ。3人には夢がある。「輸出用のモリンガを栽培する農業でフィリピンの人を雇う会社を立ち上げたい」(三須さん)

2014年にSGH指定。グローバル社会で主体的に活躍する人材を育成。

SGHとは 国は、将来、国際的に活躍できる高校生を育てるため、SGHに123校を指定し、指定校に準ずるSGHアソシエイトに56校を選定。各校は独自の授業や海外研修などを行う。