“電磁波最後の未踏領域”に挑む!【千葉工業大学】

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「テラヘルツ波」の効率的な
発生・受信方法を研究

 電磁波と聞いて、どんなものをイメージするだろうか? 「携帯電話の電波」「テレビの電波」「電子レンジ」・・・・・・。これらはいずれも電磁波の仲間だ。何が違うのかというと、それぞれの波の波長・周波数(1秒間に生じる波の数。単位はヘルツ)。波長が長く、周波数が低い「電波」はラジオやテレビ、携帯電話の電波として利用されているし、周波数が高くなると「光波」となり、可視光(照明)や赤外線(赤外線リモコン)、X 線(レントゲン検査)となる。すでに私たちの身近なところで使われているものも多い。では、同じ電磁波の種類のひとつ「テラヘルツ波」についてはどうだろう。

 千葉工業大学 工学部 情報通信システム工学科の水津光司教授はテラヘルツ波について、「マイクロ波、ミリ波よりも高い周波数の領域にあり、光と電波の中間くらいの波長です。テラというのは10の12乗という意味の数量の単位で、1テラ=1000ギガときけば、イメージできるかもしれません」と説明する。

 このテラヘルツ波、ほかの電磁波にはない特性をもっている。それは光と電波、両方の性質をあわせもつこと。光と同じようにカメラなどで映像化でき、電波のように透過性が高いのだ。

 「ところがテラヘルツ波は、発生・検出が困難なことから“ 電磁波最後の未踏領域”といわれてきました。人類が最初にテラヘルツ波を発生させたのが約50年前。それから研究がほとんど進まずにいたのです」

非線形光学を使って
テラヘルツ波を発生

 大学の研究室レベルでテラヘルツ波を発生させることができるようになったのは1980年代の終わり。以来、テラヘルツ波の実用化は急速に進んでいる。

 例えば透過性の高さを利用した非破壊検査がそのひとつ。「タイル内部に入ったヒビを高精度に検査できる非破壊検査の技術がNASAで採用され、当時スペースシャトルの点検にも使われました。また海外では空港の荷物検査や、製薬工場で錠剤の糖衣コーティングの厚みを検査する際にも利用する場合があるようです」

 とはいえ十分なパワーのテラヘルツ波を出すのは簡単なことではない。研究室では「非線形光学」という光の波長を変える理論を使って、テラヘルツ波を効率よく発生させる方法を研究中だ。

 「非線形光学とは、非常に強い光と物質が相互作用する時に起きる現象=変化のこと。この現象を利用して、さまざまな材質・形の結晶にレーザーで光を当て、テラヘルツ波の波長に変える研究に取り組んでいます」と水津教授。

研究の歴史が浅いゆえ
可能性が広がる

 研究・技術の歴史が浅いため、結晶の形を変えたり、結晶に対する光の当て方を変えたりするだけで、テラヘルツ波の発生効率がいきなり数倍になることもある。「研究室の学生にはテラヘルツ波を発生させるための方法をいろいろ試してもらっていますが、歴史が浅いゆえに、ちょっとした思いつきで新しい発見ができる余地が残されている。成果の出やすい研究といえるでしょう」

 ホットな分野だけあり、研究者人口は国内だけでもこの20年で10倍以上に増えた。現在、テラヘルツ波の応用分野として実用化が見込まれているのは災害現場での被災者救助活動や、有毒ガスの検出、生体科学、医療など。近い将来、携帯電話でより高速で大容量の通信ができるようになるのも間違いなさそうだ。

 「さらに研究が進み、テラヘルツ波を発生させるためのレーザーや受信機の価格が下がれば、他分野での研究にも利用されるようになっていくはず。その結果、これまでは考えられなかったような用途にも応用されるようになる可能性があります」と水津教授。「好奇心の強い学生にとってはとてもやりがいのある研究になるはず。皆さんが研究室の門戸を叩いてくれることを心待ちにしています」

 お話を聞いた先生! 

水津 光司 教授
工学部情報通信システム工学科

〒275-0016 千葉県習志野市津田沼2-17-1
TEL.047-478-0222(入試広報課)
http://www.it-chiba.ac.jp/

(高校生新聞 2016年12月号から)

 

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