SGHリポート 国境の島で考えた多文化共生(東京・早稲田大学高等学院)

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 東京・早稲田大学高等学院の生徒は「多文化共生社会」をテーマにSGHとしての学習に取り組んでいる。生徒有志が課外活動として参加する6つの「ゼミ」もその一つだ。11月12日には、各ゼミで実施したフィールドワークの報告会を校内で開催。このうち「越境対馬」ゼミでは、生徒7人が夏休みの8日間、韓国のソウルや釜山、長崎県対馬市などを訪ねた。研究の中心は、韓国との国境の島、対馬における「多文化共生」だ。

 対馬は近年、韓国からの観光客が急増しており、2015年には島民の7倍近い約22万人に達したが、それに伴う問題も起きている。

 生徒たちは、島の観光物産協会を訪問。無料の観光施設が多いことや、日本人観光客が少ないといった課題を知った。問題はそれだけではない。生徒たちが南部の民家に宿泊させてもらうと、島民は生徒たちに優しくしてくれたが、韓国人観光客への強い拒否感を口にした。対馬は南北の交通の便が非常に悪いため、観光客と直接接する機会の多くない南部への経済的な恩恵が少ないことも背景にあるようだった。地理の面でも意識の面でも、島が南北に分断されている現状を目の当たりにした。

フィールドワークでは対馬の島民や島興し団体などから話を聞いた(学校提供)

 ゼミのまとめ役の西野雄貴君(3年)は「対馬の中にも多様性があることが分かった。多文化共生を考えるには『日本と韓国』といった国家単位の視点だけではなく、文化が接触する具体的な場所を見て丁寧に考えないといけない」と語る。

 島外の人が島おこしのためにつくった団体「MIT(ミット)」も訪ね、自然や文化など地域の資源を生かしながら経済活性化を図ろうとしていることも知った。また、対馬でも若い世代はK-POPが好きな人もいる。西野君は「今の高齢者が担ってきた島の文化が、これから変化していくのかもしれない」とみている。

2014年にSGH指定。「多文化共生社会の創造・維持・発展」がテーマ。他のゼミは、東京、滋賀、沖縄、ドイツ、オーストラリアでフィールドワークを実施。

(高校生新聞 2016年12月号から)

 

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