成人年齢を20歳から18歳に引き下げる民法改正案が、早ければ来年の通常国会に提出される見通しとなった。成立すれば民法が制定された明治時代以来続いた「大人」の定義が数年内に変わる。

携帯やクレジットの契約も

 Q  なぜ成人年齢を引き下げるの?

憲法改正の手続きを定めた国民投票法が2007年に成立し、18歳以上に投票権を与えることになったのが発端。これに伴って公職選挙法や民法も見直すことになり、昨年6月の公選法改正で18歳選挙権が実現、これが後押しした形だ。

 Q  何が変わる?

成人年齢に関係する規定は約200あるとされ、個々の規定の見直し論議がこれから本格化する。

18、19歳でも、親の同意なしにさまざまな契約が交わせるようになり、携帯電話やクレジットカードの契約、ローンを組んでの車などの購入もできる。現在、未成年者が結んだ契約は親が取り消すことが可能だが、これができなくなるため、若者が悪質業者のターゲットになるなど消費者被害に遭う危険性が指摘されている。

また現在、女性は16歳、男性は18歳になれば成人していなくても親の同意があれば結婚できる(婚姻適齢)。成人年齢の引き下げに伴って婚姻適齢も18歳に統一される見通しで、その場合は16、17歳の女性は親の同意があっても結婚できなくなる。

一方、20歳未満が罪を犯した時に適用される少年法については、若者の更生に役割を果たしているとして慎重な対応を求める声が大きい。

喫煙・飲酒は20歳維持?

 Q  お酒やたばこは?

飲酒や喫煙、競馬などの公営ギャンブルに関しては、それぞれ別の法律で定められている。今のところ20歳のままで、引き下げには慎重論が強い。

 Q  海外では何歳から成人なの?

国際的にみると18歳から成人とする国は多い。欧米諸国は1960〜70年代に成人年齢を20〜21歳から18歳に引き下げ、その際には仕事や生活の悩みを相談できる窓口を各地に設けるなど自立を支援する取り組みをした。日本でも十分な対策が必要だろう。

 Q  ピンとこない18歳もいるかも。

成人年齢の引き下げは、より早い段階で若者に責任感を持たせ、大人としての自覚を促す。「大人」になることは、責任も背負うということだ。責任の在り方を学ぶ必要があるだろう。