【高校生記者リポート】開発教育ワークショップで学ぶ開発途上国と国際協力

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左から岡田悠也くん、中野貴之さん、阪井一仁くん

 JICA(独立行政法人国際協力機構)の地球ひろばや全国にある各国内センターでは、学校等の訪問者に対し、途上国での活動体験談・開発教育ワークショップや展示物を通じ、国際協力等について理解を深めるプログラムを無料で実施している。今回、2人の高校生記者がこのワークショップに参加した。

世界地図でわかる
世界の多様性

 JICA職員の中野さんから、JICAの組織(開発途上国へ国際協力を実施している日本の組織)について説明を受けた後、高校生記者達は、最初の課題である1分間で白紙に世界地図を書くことに挑戦。2人が描いたのは、いずれも「日本が中心」に位置するお馴染みの地図。中野さんが見せてくれた地図は、日本が中心のものもあれば、アメリカやアフリカが中心なものもあった。オーストラリアでは、日本で見る地図とは天地が逆となる。地図ひとつとっても世界は多様だ。

アフリカ大陸が中心にある世界地図の例

アフリカの学校の
様子から得られる気づき

 世界には196か国あり、そのうち開発途上国と呼ばれる国は、約140か国。アフリカだと4人に1人が小学校に行けず、2人に1人が中学校に通えない。2つ目の課題は、教育を題材にしたフォトランゲージと呼ばれるワークショップであった。写真は中野さんが青年海外協力隊として赴任したアフリカのマラウイの学校風景。

マラウイでの授業の様子

 2人に写真を見て気がついたことを書き出してもらう。「筆記用具が鉛筆でない」という岡田君の気づきに、「紙が粗悪で、ボールペンでないと筆圧で破れてしまうから」と中野さん。さらに、「この写真の中に、日本で当たり前にあるものがないけれど、何だと思う?」と問いかける。答えは「教科書」だ。「教科書がないから先生はひたすら黒板に教科書の内容を書き、生徒はそれを一生懸命写さないといけない。」2人は、日本の教室と異なるアフリカの教育の現状を知った。

国際協力の仕事で大切なこと、
そして世界とのつながり

 次に中野さんは「川の近くの貧しい村の人たちがおなかを空かしている。あなたは釣り名人。村人に何かしてあげますか?」と質問。目の前に苦しんでいる人がいたら、まず思い浮かぶことは「魚を釣ってあげる」だろう。だが、その先は? 魚を釣ってあげても、旅人はいつか旅立つ。釣り道具をあげても、使い方がわからないかもしれない。

 「JICAだったら、村人と向き合いながら魚の釣り方を教える」と中野さん。先を見据えて村人の力になることを、一緒に考え、伝えていくのが真の国際協力だと言う。

真剣な表情で取り組む2人

 しかし、開発途上国は日本から見て遠い国。途上国の問題は日本と関係などあるのだろうか。そんな疑問に答えるかのように続いて、日本で手に入るさまざまな製品(携帯電話、ゲーム機、チョコレート等)が書かれた18枚のカードが渡され、アフリカに関係の「あるもの」と「ないもの」に分ける作業を行った。私たちの身の回りにあるモノについて、日本から遠く離れたアフリカとのつながりを見つけ、私たちの生活がアフリカをはじめとする世界中の国々や地域から支えられていることを意識するのが狙いだ。また、2011年の東日本大震災の時には開発途上国も含め、世界163か国から日本に支援の手が差し伸べられた。中野さんが赴任していたマラウイの子どもたちや仲間たちからも多くの励ましの言葉や手紙をもらったという。

 一連のワークショップを通じて、高校生記者達は「世界と日本とのつながりや国際協力の必要性」を体感した。その上で最後に、よりよい世界にしていくために「今の自分に出来ること」を考えた。2人からは遠く離れた開発途上国の問題を「自分事」として捉えることができたという感想が聞かれた。

■JICAの開発教育支援事業
 JICAでは、学校教育等で行う国際理解教育や開発教育を支援するプログラムを様々実施している。例えば、毎年全国の約2.000校で青年海外協力隊の体験談等を出前講座として実施している。「知る⇒考える⇒行動する」ことは開発教育の目指すところだ。最後に、中野さんから「自分にできることに気づき、行動することで、よりよい世界になっていくはず。高校生に出来ることは何か?友達と仲良くする。困っているクラスメートがいたら助ける。そういう身近な行動が国際協力へとつながっていくと思う」と話してくれた。

■取材を終えて 岡田悠也くん
 バラバラに見える製品も、開発途上国と関連し、影響し合っていることを学べました。日本は日本、マラウイはマラウイとそれぞれ国家に所属しているけれど、共に宇宙船地球号に乗っているということが大切であるとあらためて感じました。

■取材を終えて 阪井一仁くん
 人に「何かしてあげる」というのは上位の立場になりがち。対等であることを意識して、相手の話をしっかり聞くということを学ばせてもらえました。中野さんのマラウイでの体験談を聞き、大学に入学したら、まずはアフリカに行ってみたいと思いました。

中野貴之さん

講師プロフィール
中野貴之さん
大学時代から国際協力活動を始める。卒業後は、金融機関を経て、青年海外協力隊に参加、マラウイ共和国に理数科教師として派遣される。現在、JICA職員として、国際理解教育に携わる。

JICAの全国の国内拠点では、開発教育支援事業他、国際協力に関する様々なイベントやセミナーも実施している。是非、一度足を運んでください。

(高校生新聞 2016年10月号から)

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