「ばっさー」の愛称で人気の本田翼さんは高校時代、友人の輪から少し距離を置いて、一人の時間を過ごすような「一匹狼」だったという。性格を分かってくれる親友に支えられながら、好きなことに没頭した日々を振り返ってもらった。 (文・中田宗孝、写真・玉井幹郎)

思春期の少女役になりきる

主演映画「少女」で本田さんが演じるのは、死に強い執着を持つ高校生の由紀。役に臨むにあたり、高校生のころを思い出して自分との共通点を探した。「由紀が抱く、将来への漠然とした不安、自分自身にイライラする感情は私にもありました。なぜそんな気持ちになったのかは今でも分かりません」

本番では、言葉ではうまく説明できない、怒りの感情を演技にぶつけた。「今の自分とはまったく違うキャラクターでしたが、思春期の少女に近づけたかなと思います」

「一匹狼」支えた親友

本田さん自身が高校時代、理由のないフラストレーションを感じた時は、一人の時間を大切にして乗り越えたという。「友達の輪から少し距離を置いて、漫画を読んだり、ゲームをしたり。一人でやりたいことをすると、時間の流れがゆっくりと感じられて、疲れや悩みが吹き飛びました」

そんな本田さんのそばには、支えてくれる親友がいた。孤独ではなかった。「人と群れない一匹狼でしたが、親友はそんな私の性格を分かってくれていました」

始終ベタベタするような関係ではなかったが、ふと気がつくと隣にいたという。「親友と心地よい距離感で過ごすことができたのは、あのころの大切な思い出の一つです」

制服デートは今だけ!

高校生たちには「今、好きなことを見つけて!」と、前向きなエールを送る。「何か打ち込めるものを探してほしい。私はアニメを見たり、ゲームをしたり、漫画を読みあさったりすることに夢中でした。恋愛漫画でドキドキした気持ちや妄想力が今の仕事に役立っているんですよ(笑)」

そして、恋愛についても一言ある。「制服デートができるのは高校生までなんですから。絶対にして!」と、満面の笑みを浮かべた。

ほんだ・つばさ
1992年6月27日、東京都生まれ。2006年、モデル活動を始め、現在は「non-no」などで活躍。12年に女優デビュー。主な出演作はドラマ「恋仲」、映画「アオハライド」。12月公開「土竜の唄 香港狂騒曲」17年公開「鋼の錬金術師」に出演が決定。

『少女』(配給:東映)「人が死ぬ瞬間を見たい」。そんな願望を持つようになった高2の由紀(本田翼)。彼女は、余命わずかの子どもたちが入院する病院でボランティア活動を始める。一方、由紀の親友・敦子(山本美月)は、学校で陰湿なイジメに遭っていた……。湊かなえのベストセラー小説を映画化。10月8日から全国で公開。