全国高校総体陸上女子800mで優勝した福田翔子

 

全国高校総体(インターハイ)陸上の女子800メートル決勝が8月1日にシティライトスタジアムで行われ、6月の日本選手権を制した福田翔子(島根・松江北3年)が2分4秒29の高校歴代2位となる好タイムで初優勝を果たした。(文・小野哲史、写真・幡原裕治)

「優勝しなきゃ」重圧に苦しんだ1カ月

日本選手権覇者――。その称号は福田に大きな自信をもたらした一方で負の側面もあった。「自分ではプレッシャーはないつもりでしたが、心のどこかでプレッシャーのようなものを感じていて、インターハイは優勝しなきゃいけないとずっと思っていました」。大会前の約1カ月は精神的に苦しんだが、決勝では「自分のレースをするためにいったん落ち着こう」と、胸に手を当ててからスタートラインに立った。

福田が優勝候補ではあったが、決勝に進んだ8人のうち、福田を含め5人が昨年のインターハイ決勝でも競い合った顔ぶれ。その1人で日本選手権5位の戸谷温海(大阪・東大阪大敬愛3年)が大方の予想通り、スタートから飛び出した。「日本選手権では戸谷さんに一歩前に行かれる展開だったので、今回はなるべくすぐ後ろについていきました」と福田。500メートルを過ぎからのペースアップでトップに立つと、「行けそうだったのでギアチェンジして最後まで逃げ切りました」と快勝を振り返った。

高校記録更新が現実味

初日に400メートルに出場し、決勝まで進み5位に食い込んだ。両種目の予選、準決勝、決勝と6本のレースをこなした。それでも「(800メートルの)予選は余裕を持って走れたし、準決勝も思ったより楽に走れて、あまり疲労を残さずに決勝に臨めました」と話すように、調整がうまく行ったことも勝因と言えるだろう。2000年を最後に破られていない高校記録(2分4秒00)更新がいよいよ実現の可能性を帯びてきた。

日本選手権で勝った時は涙を見せなかった福田。しかし、この日はゴールした瞬間に倒れ込み、勝利の喜びと重圧から解放された安堵感からか、しばらく涙が止まらなかった。目を真っ赤にしながら「優勝できて本当にうれしいです」と口にし、直後に出場する4×400メートルリレーの招集所に向かっていった。

全国高校総体陸上女子800mで入賞した選手たち