優勝した春日部高校の3人(日本棋院・幽玄の間)

囲碁の高校日本一を決める第40回全国高校囲碁選手権大会(日本棋院など主催)の男子団体戦決勝が7月26日、日本棋院(東京)で行われ、春日部高校(埼玉)が上宮高校(大阪)を破り、前身の大会の1970年以来、46年ぶり3度目の優勝(現大会では初優勝)を果たした。(文・写真 野村麻里子)

団体戦は3人でチームを編成し(補欠としてもう一人エントリー可能)、1対1で対戦。勝者の人数で勝敗が決まる。都道府県予選には215校が参加し、勝ち抜いた50校が全国大会に進んだ。

「春日部高校が強すぎる」と講評

決勝は副将、三将の対局が先に終わり1勝1敗。春日部高校の中島光貴君(2年)と上宮高校の岡田天斗君(3年)の主将対決となった。

中島君は「三将の負けたと言う声が聞こえた。副将の様子をちらっと見ると自信満々に打っていたのでこれは勝っているなと思った。僕に(勝敗が)懸かっていると分かり緊張しそうになったが、ちょうどそのタイミングで相手の調子が乱れたようで少し余裕が持てた」と対局を振り返る。

準決勝までは一人も負けずに勝ち進んできた。「春日部高校が強すぎた」(石倉昇九段)と講評されるほどだった。強さの秘密を聞くと、中島君は「自分らしく、いつも通り」と繰り返す。「決勝に進んだことは友達にも言っていない。決勝戦前にほかのメンバーと話して気合を入れることもしていない」と言う。それは「いつも通りの自分」でいるためだ。「勝ちに行くと逆に負けてしまうから」

春日部高校(右列)と上宮高校の決勝戦(日本棋院)

小学校から知り合い「来年も同じメンバーで」

中島君は、放課後にネット対局をしたり、「棋譜並べ」をしたりして練習。日曜日には光永淳造六段に教わり、月1回は東京大学囲碁部のOBと対局している。

三将は中島君の弟の駿君(1年)。副将の林隆羽君(1年)を含め3人は小学校からの知り合いで、囲碁の大会の常連だったという。

「来年も同じメンバーで参加できるかもしれない。その時も優勝することは考えず『いつも通り』やりたい」と中島君は話した。


【全国高校囲碁選手権男子団体結果】
優勝 春日部(埼玉)
準優勝 上宮(大阪)
3位 桐蔭学園(神奈川)
4位 仙台第二(宮城)
5位 洛南(京都)
6位 麻布(東京)
7位 開成(東京)
8位 平塚中等教育(神奈川)
女子団体の結果はこちらから。