ミジンコで毒性試験をした宇都宮女子高校の2人

群馬・栃木・茨城・埼玉のSSH指定女子高校6校の生徒による課題研究発表会が3月25日、お茶の水女子大学(東京)で開かれた。各校のSSHクラスなどに所属する約80人、37のグループが研究成果を発表した。3校の2年生(開催時)の研究を紹介する。
(文・写真 野口涼)

発表会は、優れた女性研究者を育てるのが目的。参加者は他校生徒から質問を受けるとともに、お茶の水女子大学や東京大学などの教員と大学院生から指導やアドバイスを受けた。

ミジンコで毒性チェック

栃木・宇都宮女子高校の草島萌さんと山田怜実さんが行ったのは「ミジンコを用いた毒性試験」。異なる濃度・種類の薬剤にオオミジンコを投入し、死亡した個体数から薬剤の毒性を評価した。

「マウスなどの実験動物は飼育が難しく、コストがかかる。自分たちで増やせるミジンコを使ってできるのがうれしく、この実験に取り組みました」と山田さんは話す。

草島さんは「15回ほど実験しました。1回の実験で多いときは192匹のミジンコの生死を、心臓が拍動しているかどうかで判断しました」と苦労を振り返った。

こうした方法で、イベルメクチンのような薬剤(純物質)とシャンプーのような複合物質、どちらの毒性の強さも調べることができると分かったことが研究の成果だ。

「今回は複合物質としてシャンプーを使用しましたが、今後、研究を引き継いでくれる後輩には、自然環境に影響があると思われる生活排水を採取し、毒性を検証してほしいと考えています」(山田さん)

納豆菌、腸内でどう動く

「納豆菌の整腸作用」をテーマに研究発表を行ったのは、茨城・水戸第二高校の藤崎未来さんと池羽冬葵さんだ。

整腸作用があるとされる納豆菌は、酸素のあるところで活動する好気性細菌。「酸素のない嫌気状態である腸内で、どのように活動するのか疑問を抱いたのが研究のきっかけです」と池羽さんは言う。

2人は、納豆菌を塗布した培地を好気状態・嫌気状態でそれぞれ安置。顕微鏡で繁殖状況を観察すると、納豆菌が嫌気状態では繁殖できないこと、その場合も芽胞(細菌が作る胞子)を形成することが分かった。

「今後の実験では、さらに腸内に近い環境で、納豆菌を乳酸菌と一緒に培養。どのような反応をするのか、その反応に芽胞は関係しているのかについて調べたいと思っています」(池羽さん)

水戸第二高校の池羽さんが納豆菌について力説

マツで大気汚染を測れるか

群馬・前橋女子高校の金子みなみさんの研究テーマは「マツの葉の気孔で大気汚染の現状を知ることができるか」。大気中のちりの量をマツの葉の気孔の汚染率で測れるかどうかを検証した。

金子さんは、環境の異なる11地点でマツの葉を採取し、汚染率を算出。同じ場所にワセリンを塗ったシャーレを設置し、ちりの個数との相関関係を調べた。

「シャーレ1平方センチあたりのちりの個数は、多いときで300〜400。カウンターで数えるのがとても大変でした」

研究の結果、大気中のちりの量とマツの葉の気孔の汚染率の間には相関関係があることが分かった。金子さんは「計測した数値をグラフにしたときに発見があるのが実験の楽しさです」と語った。

マツの葉に注目した前橋女子高校の金子さん