森壮男さん

受賞理由 
 和太鼓「欅」は、和太鼓やボランティア活動に情熱を持つ有志と、生徒会役員で構成されています。伝統の創造・行事の活性化・地域貢献を目標に掲げて年間30回以上の演奏を行っており、そこで得た地域の方々との「繋がり」を何よりも大切にしています。森君は和太鼓「欅」の長(責任者)として、リーダーシップを発揮し、後輩の育成、部内の技術向上に貢献しました。

苦しい場面も楽しむ

幼いころに近所の祭りでたたいた太鼓の楽しさが忘れられず、高校受験前から「入学したら和太鼓チーム『欅』に入ろうと決めていた」。メンバーは月1回、プロの和太鼓奏者の指導を受けるが、基本的には先輩が後輩に教えることで技術を磨く。「練習は体力的にもきついし、手にはたくさんのマメができる。先輩から厳しいことも言われましたが、和太鼓にはそれを上回る楽しさがありました」

「授業中も和太鼓のことを考えてしまい先生に注意されるほど、和太鼓が好きだった」と笑う。先輩たちが抜けた後は「長」としてチームをまとめた。当初は「みんなが自分と同じようにやってくれないことがもどかしかった」が、次第に「思い通りにいかないのは当然」と、その状況を面白く感じられる境地に達した。この経験は「今後も生きてくるはず」と胸を張る。

たくさんのイベントや演奏会を重ねるたびに、「年齢や男女を問わず、聴く人が笑顔になってくれる」和太鼓の魅力を感じた。

中でも「それまでは銅賞止まりだった関東大会で銀賞を取れたことや、僕たちの代の最後の定期演奏会で最後まで全力で演奏できたことが思い出に残っています」と森君。卒業後は和太鼓をたたく機会は減るかもしれないが、趣味のドラムで新たな自分を見つけていくつもりだ。(小野哲史)

 森さんへのQ&A 

Q.充実した高校生活を送るには?

自分の「やってみたい」という気持ちに素直に従うことが何よりも大切だと思います。僕は和太鼓にのめり込み過ぎて勉強をギリギリでやっている時期もありましたが、続けてきて本当に良かった。「やってみたい」と思っているだけでは、きっと後悔してしまうので、一歩を踏み出してみてください。

Q.辛い時をどう乗り切るか?

苦しい場面で何もせずに耐えるのではなく、自分が何に苦しんでいるのかを考えて、それに立ち向かうこと。それが解決の糸口になると思います。

また、仲間の存在も大きかったです。より良い演奏を創り上げるため、時に意見がぶつかることもありましたが、一緒に和太鼓を始めた仲間は、どんなときも支えになってくれました。

Q.勉強とそれ以外のことをどのように両立させましたか?

僕は和太鼓が本当に好きだったので、和太鼓を頑張るために勉強に取り組んでいました。勉強をおろそかにしてテストの結果が悪かったりすれば、補習や先生から呼び出されたりして、和太鼓の時間が削られてしまいます。受動的かもしれませんが、そのようにして勉強のモチベーションを持続するのも一つの考え方です。

 学校の特色 
 埼玉県川越市に位置する私立中高一貫の男子校で、「これからの男をつくる」べく、「報恩感謝」を校是とし、「心豊かな人間の育成」「個性・学力の伸長」に教職員が一丸となって日々努めている。