佐藤駿さん

受賞理由 
 高校に入学してから木材加工を始め、資格取得・加工技術の向上に励み平日休日問わず夜遅くまで努力しました。その結果、1年次に技能検定(建築大工)の2級に合格し、2年次に「第9回若年者ものづくり競技大会」で2位に入賞しました。そして、今年度の「第10回若年者ものづくり競技大会」では、金賞(厚生労働大臣賞)を受賞し、念願の日本一に輝きました。

技術磨き夢をかなえる

小学生のころから寺社などの建築を専門とする宮大工に憧れ、高校では建築研究部に入り木材加工の技術を磨き続けてきた。3年生の夏、ものづくりの技能を競う「若年者ものづくり競技大会」の建築大工競技で、大学生や専門学校生を抑えて日本一になった。

2年次の同大会は準優勝。「先輩も(最優秀賞を)とっていたので、自分も優勝したい」と、木材加工の練習に毎日励んだ。木目や湿度によって加工方法が変わるため「経験を積むしかないんです」。作品の仕上がりを左右する道具の手入れも毎日欠かさなかった。

大会では、事前に与えられた設計図をもとに制限時間内で屋根の一部分を作る。削った木材に寸法線を描く時間帯は、会場から音が消えるという。大会特有の緊張感に飲み込まれないよう、大会直前までお気に入りの音楽を聴き、平常心で臨むよう努めた。「(作品は)完璧とは言えないけれど、1年前より上達したと感じた」

図面を読むには三角関数などの知識が必須だが、佐藤君は数学が苦手だったという。「好きなことにつながるから」と前向きに考え、先生にマンツーマン指導を仰ぐなどして苦手を克服した。

卒業後は夢だった宮大工として県外で働く。今後は職人として技術を磨く。

(堤紘子)

 佐藤さんへのQ&A 

Q.中学と高校の違いは?

高校のほうが「責任」を感じることが多くなったと思います。中学では与えられたことをただやっていました。しかし高校では、(宮大工になるため木材加工の技術を上げる)目的を持って入学したので、与えられたことだけをやるのではなく、チャンスを自分からつかんでいくことが大切です。

Q.トップに上り詰めるには?

大抵のことは、どれだけ努力したかが結果に出ると思います。僕も不器用ですが、練習を積んだことで器用な人を超えてきたと感じています。

Q.集中力を持続させるコツは?

集中力が切れたら、お菓子を食べたりしながら他のことを考えて気分転換をしました。集中できないときは、一旦離れることも大事だと思います。

Q.練習を一生懸命しているのに上手くいかないときはどうしましたか?

そういうときはイライラしたりもしましたが、「自分が好きでやっている」と思って上手くいくまで続けました。続けていれば自分の課題が見えてきて、解決方法を考えることができます。

Q.高校生活でやるべきこととは?

いろいろ趣味を持つといいと思います。僕の「宮大工」の夢も「歴史好き」という趣味から生まれました。趣味を通じてやりたいことを見つけられるので、自分の趣味を広げることを意識するといいと思います。

 学校の特色 
 平成27年度に創立92周年を迎えた歴史と伝統のある学校です。その上、最新の施設設備に囲まれた最高の環境の中、「高きを仰ぎ最善を尽くす」の校訓のもと、地域産業の担い手となれる人材を育成しています。