金融・経済の知識力を競う「マニュライフ生命カップ第10回記念全国高校生金融経済クイズ選手権エコノミクス甲子園」の全国大会が2月27・28日、東京で開催。予選を突破した44校が出場し、新潟高校2年生のチームが優勝を手にした。(野村麻里子)

■企業の経営計画をプレゼン

大会は、二人一組のチームで金融や経済に関するクイズに挑み、全国1位を目指す。主催は金融知力普及協会(東京)で、マニュライフ生命保険などが協賛した。

42都道府県で行われた地方大会には410校1121チームが参加。44校が全国大会に駒を進めた。

1日目は筆記試験やプレゼンテーションで競った。プレゼンには、4校で編成したグループで挑戦。日本航空がM&A(企業の合併や買収)するのに最適な企業を探し、どういったサービスが提供できるかを考えた。

日本に訪れた外国人観光客へのサービスとして、大手不動産会社の保有する施設を利用した宿泊施設の提供を提案したグループが1位となった。ほかにも機内で遊べるヴァーチャルリアリティ技術を使ったゲームの開発など、さまざまなアイデアが披露。上位のグループには加点された。

■圧倒的強さを見せた新潟高校

白熱した決勝戦

2日目、決勝戦に勝ち進んだのは、慶應義塾高校(神奈川)、東大寺学園高校(奈良)、新潟高校(新潟)、広島学院高校(広島)の4校。

問題の難易度に合わせて「金額」が設定された。クイズに正解して、より多くの「収益」を得たチームが優勝となる仕組みだ。「株式相場が急変動した際、投資家が冷静に取り引きできるよう一時的に中断する制度の名前は?(答、サーキットブレイカー制度)」といったハイレベルな出題が続出した。

優勝したのは、新潟高校の小幡尚輝君(2年)と平山一帆君(2年)だ。クイズ同好会に所属している2人は、難問に1校だけ正答するなど、圧倒的な強さと駆け引きの巧みさを見せた。

小幡君は「1年生の時は地方大会の決勝で負けてしまったので、雪辱を果たすべく『やる気全開』で挑んだ」と話す。事前に主催者から配布された教材を読み込み、資料集やインターネットを使って経済用語を調べて大会に備えてきたという。

「まさか優勝できるとは思わなかった。夢の中にいるみたい。来年も参加して2連覇を狙う」と力強く語った。副賞としてニューヨーク研修旅行が贈られた。

準優勝は広島学院高校の3年生、白部敬識君と中本和宏君。二人とも大会前日に大学受験をした足で会場に向かい、大会に臨んだ。白部君は「受験勉強があり満足に準備できなかったが、準優勝できて大満足!」と笑顔を見せた。

■200万円の奨学金3人に

大会には過去の参加者がボランティアスタッフとして参加した。当日は約50人が司会や受付などの大会運営を行った。問題の作成も手がけていた。

金融知力普及協会は大会が10回を迎えたことを記念して育英奨学金を創設した。返済は不要で、大学4年間で200万円を支給。希望した全国大会出場者の中から3人を選考し、閉会式で発表した。壇上に上がった3人は喜びで感極まった様子で、涙ながらに志望大学や将来の夢を話していた。