企画を成功させる秘訣は“見える化”にアリ!

高校生活の中では、みんなで一緒に何かを企画し、実施していく機会が多い。その代表といえば文化祭だが、準備が間に合わずに苦労した経験をもつ人もいるのではないだろうか。

「だったらぜひ、今年の文化祭では『見える化』を試してみてください」と話す加藤和彦教授。「誰が今何をやっているか、作業はどこまで終わったかなど準備の進捗状況を記録し、全員が見られるようにするんです。すると、『この部分は作業が遅れているから手伝おう』と問題点に気づいて早めにフォローできる。誰か一人が仕事を抱え込み、結局期日に間に合わなかった…という事態を防げますよ」

 実はこの「見える化」、ビジネスの世界でプロジェクトを進める際によく使われる手法だそう。「プロジェクトとは、目的と期限が明確にあり、多くの人が一緒に取り組む活動のこと。文化祭はもちろん、製品の開発やイベントの開催、新たな制度の導入など、世の中にはプロジェクトに該当する活動がたくさんあります。それらを成功に導くノウハウを学び、プロジェクトを管理(マネジメント)する知識を身につけるのが、プロジェクトマネジメント(PM)学科の目的です。PMを専門に学べるのは日本で唯一、この学科だけなんですよ」

 

 

理系的アプローチで予測を立てる

プロジェクトを成功に導く基本は、5つのプロセスで進めること。「立上げ」、「計画」、「実行」、実施状況の「監視・コントロール」、終了後にプロジェクトの振り返りを行う「終結」だ。

具体的には、まず立上げのプロセスでプロジェクトの目的、予算、期限などを明確にし、文書化する。次に、顧客の依頼で製品を作る場合は要望を聞き、文書化する。その次に、製品を作るために必要な作業を1つひとつ洗い出し、文書化する…というように、すべてのプロセスを文書化=「見える化」するのだ。なんだか文書化だけでプロジェクトが終わりそうな気がする。

「確かに面倒くさいですよね。でも、社会に出たら次々にプロジェクトに取り組まねばなりません。行き当たりばったりで進めると成果にばらつきが出てしまう。どのプロジェクトでも大きな失敗なく結果を出すためには、計画に基づいて実施し、得られた教訓を次に生かしていくことが必要なんです」

ただし、いくら綿密に計画を立ててもそのとおりにいくとは限らない。そこで、統計学など数学の知識を使って実際の状況を数値化し、計画とずれがないかを見ていくのだ。「こうすることでプロジェクトの今後をある程度予測できるんです。プロジェクトでは特に品質・コスト・納期の管理が重要ですが、予算は足りるか、足りない場合いくら足りないかなども予測できるので、対策を立てられる。これが理系的アプローチを行う1番のメリットです。文系・理系両方の知識を使ってPMに取り組むのは、この学科ならではの特長です」

実社会で求められるPMの知識

加藤教授の研究室では、PMの基礎理論を学んだ上でチームに分かれ、各自の役割を決めてスマホアプリ等を開発するPM演習に取り組む。「チーム内でもめることもありますが、そこでリーダーシップやコミュニケーション能力、協調性など社会で必要な力が鍛えられるんです」。

また、学びを実践に生かし、地元・習志野市を本拠地とする社会人アメリカンフットボールチーム「オービックシーガルズ」を支援するプロジェクトも行っている。昨年はチームのファンを増やしたいとの依頼を受け、地域住民向けのスタンプラリーを学生自身で企画。新たに百数十名のサポーターの獲得に成功したそうだ。「PMの知識は将来どんな分野でも役立つはずです。この学科で一足先に身につけて、社会で求められる人になりましょう!」

 お話を聞いた先生! 
加藤和彦教授 社会システム科学部 プロジェクトマネジメント学科

 



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