スタイリスト:伊藤省吾、ヘアメイク:AZUMA(W)

さまざまな役柄を巧みに演じ分ける俳優、菅田将暉さん。ハードな撮影を乗り越える原動力は、高校時代に部活で身に付けた忍耐力と精神力。得意教科の数学は「一日中、問題を解いていても楽しかった」と語るほど好きだったという。(文・中田宗孝、写真・幡原裕治) 

アドリブで涙の演技

「作品ごとに新しい自分をみせたい」と語る菅田さん。来年1月公開の映画「ピンクとグレー」では、親友と共に俳優を目指す青年役を演じる。親友との才能の差に気付くシーンで、台本にないアドリブ演技に挑んだ。

「その時、彼ならふがいない自分にいら立ち、親友への嫉妬から泣いてしまうだろうと感じ、本番で涙を流すアドリブの演技をしたんです」

与えられた役柄を深く考えた末の演技は見事採用された。撮影後に監督から「僕の作品の常連俳優になってほしい」と声を掛けられた。「役者冥利に尽きますね」

数学はゲームのように

芸能活動を始めるまでの高校生活は、アメフト部に所属して仲間たちと毎日練習に励んだ。「ボールを投げ過ぎて右腕が動かなくなるくらい、試合に勝つために本気で練習に打ち込んでいました」。体だけでなく、心も鍛えられたという。「部活で忍耐力や精神力を培ったからこそ、今、大変だなと思う撮影でも乗り越えられるんです」

得意だった教科は数学。数学を好きになる秘けつを「RPGをクリアするように問題を解くこと」と教えてくれた。「まず多くの問題に取り組んで、自分の『数学経験値』をレベルアップさせる。基礎となる数式を覚え、足し算や掛け算といったアイテムをうまく使えば、問題という強敵を倒せます!……なんだか、先生みたい(苦笑)」

気に入った言葉は、スマホに保存している。物理学者・アインシュタインの、好奇心について語った格言を色紙に添え、高校生へのメッセージとした。

「何事にも好奇心を持つと気持ちが前向きになって、今よりもっと楽しい学校生活を過ごそうと思える。友達付き合いも大事にできる。もし勉強が苦手でも、将来、社会に出るときの選択肢を広げるため、と頑張れるはず」

すだ・まさき
1993年2月21日、大阪府生まれ。2009年、特撮ドラマ「仮面ライダーW」で俳優デビュー。16年は「暗殺教室〜卒業編〜」「ピンクとグレー」をはじめ「二重生活」「星ガ丘ワンダーランド」「セトウツミ」など公開予定作多数。

「ピンクとグレー」

(C)2016「ピンクとグレー」製作委員会

 何をするにも一緒の親友だった白木蓮吾(中島裕翔)と河田大貴(菅田将暉)。2人は雑誌の読者モデルとしてスカウトされたのをきっかけに芸能界に踏み込む。その後、蓮吾はスター俳優に。2人を決裂と再会、そして突然の別れが襲う。加藤シゲアキの小説デビュー作を映画化。来年1月9日から全国公開。配給・アスミック・エース。