8月2日、高校生英語スピーチコンテスト2014の本選が亜細亜大学のキャンパスで行われた。今年から、長期に渡る海外生活や国際教育を経験していない高校生に限定した募集がなされ、一次審査には51校116人が応募。厳正な審査の結果、12人の高校生たちが本選に進出した。社会に目を向け、自分の考えを伝えようと英語で熱弁した本選出場者の熱いスピーチバトルの結果をお届けしよう。

12人の精鋭が集結 白熱のスピーチコンテスト

基幹教育としてグローバル人材の育成に主眼を置き、国際教育に注力してきた亜細亜大学。2015年度入試から導入する、「グローバル人材育成入試」の入学者は、海外インターンシップが必修となる。ネイティブ教員と交流しながら、国内でもグローバル教育が受けられるのが特長だ。そんな同学の60周年を記念して、2001年にスタートしたスピーチコンテストも13回目となる。
 今年のテーマは「今、見つめ直す日本」。意欲的に英語学習に取り組む全国各地の高校生から多数の応募が寄せられるなか、12人が本選に出場し、持ち時間の5分間を最大限に生かし、それぞれの考えをスピーチした。

ハプニングにも動揺せず最後まで堂々とスピーチ

スピーチの前には亜細亜大学の池島政広学長より開会の言葉が披露された。「グローバル人材とは、語学力、プレゼンテーション能力、交渉力をもつ人材のこと。こうした人材が社会で求められ、亜細亜大学ではそうした人材育成にしっかり取り組んできました」と、同学が誇る留学制度などの紹介と共に、「厳しい一次審査を通った皆さん。今日はリラックスして臨んでください」と出場者にエールを送った。
 本選では、誰もが緊張を見せず、ジェスチャーをつけてそれぞれの思いをスピーチ。途中、暗記していたはずのスピーチを忘れて一瞬沈黙するハプニングも見られたが、動揺せずに落ち着いて再スタートさせるなど、堂々とした高校生たちの姿は、会場を感動させる。
 スピーチ後には、同学教員と学生によるプレゼンテーションが行われた。亜細亜大学の4年間の学びの様子が、学生によって英語で軽快に語られる。
 そしていよいよ、結果発表の時がきた。敢闘賞7名の発表後、特別賞2名、優秀賞2名、最優秀賞1名が発表される。審査にあたった佐藤玲子特任教授は「いずれもすばらしいスピーチに、審査は難航しました」と温かく講評した。

言語をツールとして世界をつなぐ人材に

最優秀賞の山田恵利佳さんは、スピリチュアルな健康の大切さを訴えて受賞した。二胡(中国の楽器)を弾くことで、心の平静を保つという山田さんの説得力のある内容が評価されたようだ。
 特別賞を受賞した一人、辛孝源さんは表情豊かなスピーチで、会場の注目を集めた。スピーチそのものが好きだという辛さんは、日本語弁論大会にも出場するほどの論客だ。本コンテストでは、日本人がもつ「本音と建前」という2つの顔についてスピーチ。「時には建前も必要ですが、本音を伝えることで深い交流をはかることができると思います」という辛さんは、自身が体験した父親とのエピソードを交えてスピーチを構成した。
 もう一人の受賞者、有本光希さんは、人の親切心をテーマに、日本人の「心」の在りようをスピーチ。「今回のコンテストのテーマを考えた時、日本の特徴には豊かな自然以外に、親切な心があると思い、スピーチにしました」と話す。「発音が難しく、流暢に話そうとすると、発音が悪くなり…」と本選出場までの苦労を語ってくれた。
 「英語が好き」という出場者たちの視線の先には、世界という舞台が垣間見える。「言語をツールに各国の人と深い交流をはかりたい」という辛さんの言葉はすべての参加者に共通する思いだろう。本コンテストでの経験を糧に、それぞれの希望の場所で、日本と世界をつなぐトップランナーを目指してほしい。

◆受賞者の声

最優秀賞 山田恵利佳さん(大阪府・国立大阪教育大学附属高等学校平野校舎2年)
My Spiritual Health -私の霊的健康-

中学時代にも、英語スピーチコンテストに参加した経験がありますが、高校でもずっとやりたいと思っていました。今回は、担任の先生に勧められて、高校では初めての英語スピーチコンテストへの参加です。
 健康には精神や身体の健康だけでなく、霊的な健康も大切という内容で、スピーチしました。私が言う「霊的」とは、文化やきれいな景色から得られる感覚のことです。私たちが元気でいるためには、日本文化のことをもっと大切にした方がよいと思うのです。つまりストレス解消するために音楽を聴いたり、自然を見たり、食事を楽しんだりしませんか?と提案しました。
 私自身、5歳から続けている中国の楽器「二胡」が、霊的健康につながっています。二胡の魅力は、音がとてもきれいなこと。昨日も弾いて、リラックスして本選に臨むことができました。実体験を盛り込んだので、文章には困りませんでしたが、どうしたらわかりやすく伝わるのか、言葉の選び方には気をつかいました。
 英語をもっと学びたくて、学校に英語部を作ろうと動いているところです。将来は、医師になりたいのですが、英語をずっと活用するためにも、世界を視野に働きたいと思っています。

優秀賞 寺井夕貴さん(静岡県・私立静岡雙葉高等学校2年)
Girls Be Ambitious! -少女よ 大志を抱け!-

小さい時から英語を習っているせいか、英語はもちろんのこと、洋楽も好きです。中学校でネイティブの先生と出会ってから、英語スピーチの指導を受けるようになり、中学からコンテストに参加し始めました。机にかじりついて学ぶよりも、スピーチのようにアクティブに英語を学ぶ方が向いているようです。今回は、時代とともに、女性像が変わったことをスピーチ。新聞部の部長をしていますが、忙しい時期と重なるなどの事情もあり、難しい単語を覚えるのに苦労しました。

優秀賞 廣田香澄さん(兵庫県・神戸市立葺合高等学校2年)
Using English to Learn About Our Japanese identity -英語で学ぶ日本人らしさ-

私たちは英語を学び、国際的になることを追い求めていますが、日本語をきちんと使えているでしょうか? 難しい漢字が書けないなど、けっこう恥ずかしいですよね。今回、コンテストのテーマを見て、「真に国際的になるには、自分の国を見つめ直すことが大事」だと思い、英語を勉強することも大切だけれど、日本語という元になる部分をきちんと知っておこうということをスピーチしました。単調なスピーチはつまらないので、緩急の抑揚をつけ、聴いてくださっている方の目を見て話すよう心がけました。