【強さのヒミツ36】体を限界まで追い込む 大阪桐蔭(大阪)硬式野球部

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 5月の春季高校野球近畿大会を制した大阪桐蔭(大阪)硬式野球部。多くのプロ野球選手を輩出している名門は、2年ぶりの全国高校野球選手権大会(夏の甲子園)制覇を目指し、体を限界まで追い込む、伝統的な練習に励んでいる。(文・写真 白井邦彦)

 1球1球を大事に、練習でもナインは常に全力でプレーする

1球1球を大切に

 練習メニューは、キャッチボール、シートノック、ゲーム形式のバッティングといった基本的なものばかり。だが、捕手の横井佑弥(3年)=大阪・久宝寺中出身=は「強化練習後のバテた体で練習すると、夏の本番でも本来の力が出せるようになる」と語る。

 守備練習では、落球した選手に周りから「しっかりせぇよ」と注意が飛ぶ。試合さながらの緊張感がグラウンドには満ちている。一つのミスが勝敗を分けることを知るからこそ、1球1球を大切にしている。

 

 部のスローガンは「一球同心」。練習中も円陣を組み、部員同士で意思統一を図る

念入りにクールダウン

 時間短縮へのこだわりも強い。シートノックでコーチから「ホームゲッツー」と指示が出ると、部員は数秒で守備陣形を変え、三塁ランナーの役を務める選手はダイヤモンドの外からダッシュで向かう。機敏な動きを心掛け、一つでも多くのプレーを練習する意識の高さがうかがえる。

 練習の最後は40分ほどかけてクールダウンを念入りにする。けがの予防だけではなく、次の日も最良な体の状態で練習に臨むためだ。練習の質を高めるためには欠かせない。

 センターの正隨優弥(3年)=広島・段原中出身=は「昨秋の府大会でコールド負けした。あの屈辱をよい経験にするために、自分を追い込んできた」と話す。見据えるは4度目の甲子園制覇だ。

☆キープレーヤー

レフト 中村誠(3年主将)

 シートバッティングでは、1死ランナー二塁、2ボール1ストライクなどの苦しい場面を想定して行う。その場面で何がベストのプレーかを考えています。

キャッチャ 横井佑弥(3年)

 個人的には、自分の課題を練習で克服できるように心掛けています。今の課題はバッティング。状況によって求められる打撃が違うので、バント練習もしっかりやっています。

センター 正隨優弥(3年)

 今年のチームは、まとまりがある。自分のプレー以上に、チームの雰囲気を壊さないことが大切なので、積極的にみんなに話しかけるなどコミュニケーションを図っています。

柔らかく強い体をつくる 

西谷浩一監督(44)1969生まれ。関西大卒。93年に大阪桐蔭のコーチ就任。98年11月から監督。

 合言葉は「1球1球を大切に」。決して強いチームではありませんが、〝三度の飯より野球が好き〟な選手が集まっています。だから、苦しい練習でも乗り越えられる。そこが強みかもしれません。

 甲子園で勝つことが目標ですが、野球を通して大学や社会に出た時に通用する人間を育てたいと思っています。気を付けているのは、野球ができる喜びを部員全員がかみしめられる雰囲気をつくることです。1年生は整地やボール拾いが中心の学校もあるようですが、ウチでは1年生から全体練習に参加します。野球ができる喜びを感じてほしいからです。

 練習を通して目指しているのは、柔らかく強い体をつくること。常に強化を繰り返しますので、選手の体のことを考えて週に1度は理学療法士に選手のコンディションを見てもらっています。選手が全力でプレーできる環境をつくることが、私の役目だと思っています。

 
◆チームデータ 1988年創部。部員58人( 3年生18人、2年生18人、1年生22人)。91年の全国高校野球選手権大会で初優勝。2012年に春夏連覇達成。甲子園出場は春夏合わせて13回。全国制覇4回(夏3回、春1回)。

 

(高校生新聞 2014年7月号から)

強さのヒミツ

 

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