高校生新聞は毎年、全国の高校生に生活や考えについて質問するアンケート調査「高校生白書」を実施している。ことし7月に実施した調査では、スマートフォン(スマホ)の急速な普及などにより、高校生の生活やコミュニケーションの方法が大きく変わったことなどが明らかになった。

スマホ所持76%

 

高校生に携帯電話やIT機器の使用状況を聞くと、スマホを使っている人が全体の76%と、昨年(45%)から急上昇した。スマホを含む携帯電話を自分用に持っているのは95%。一方、パソコンやタブレット端末を自分用に持っている人は、それぞれ20%、11%と少ない。

ことしのもう一つの大きな変化が、無料で通話やチャットができるアプリ「LINE」の爆発的な普及だ。携帯所持者のうち84%(高校生全体の80%)が登録しており、登録者の半数は平日1時間以上使っている。ツイッターは50%、フェイスブックは21%が登録しているが、LINEには及ばない。

携帯電話でメールをする人は67%と昨年(94%)から激減。LINEに取って代わられた格好だ。ゲームをする人は、56%(昨年は36%)と増え、中でも男子は68%(昨年は44%)に上った。

高校生の回答から、課題も浮き彫りになった。スマホは高い機能を持つ半面、トラブルに巻き込まれる恐れも高まる。ところが、危険なサイトへのアクセスを防ぐフィルタリングを設定している人は39%と昨年(42%)から減った。「危険なサイトやアプリを使わないよう気を付けている」と答えた人も59%にとどまる。ネットの安全対策は不十分だ。

長時間の使用も課題だ。1日に1時間以上携帯電話を使う人は高校生全体の62%(昨年は54%)、3時間以上使う人も20%(昨年は18%)いるが、「使用時間などのルールを決めている」という人は携帯所持者のわずか6%。安全でメリハリのある使い方を心掛けたい。

第1志望「決めた」3年生の6割

 

回答者のうち四年制大学・短期大学への進学希望者は61%、専門学校希望者は13%いた。進学希望の3年生に、第1志望の大学・学校を決めたか尋ねると、「決めた」が60%、「一応決めたが変わるかもしれない」が30%だった。調査を実施した夏休み前の時期でも、まだ迷っている3年生が多いことがうかがえる。オープンキャンパスに一度もいったことがない3年の進学希望者も28%いた。

1~3年生に進学先選びで重視することを聞くと、最も多いのが「興味があることが学べる」(79%)。「雰囲気」「就職実績」などが続いた。

入試の願書をインターネットで提出できる「ウェブ出願」を導入する大学が増え始めているが、これを「利用したい」という進学希望者は42%、「どちらともいえない」が59%だった。

「政治家信用できず」81%

 

高校生の根強い政治不信が浮かび上がった。

「政治家は信用できる」と思うかを質問すると、「あまりそう思わない」「全然そう思わない」を合わせて81%に上り、「とてもそう思う」「まあそう思う」を合わせても17%にとどまった。「政治家は10代の意見をもっと聞いてほしい」と考えている人は66%、「政治家が議論していることは難しくて分からない」人が69%に上った。次の時代を担う高校生と政治の距離を縮める努力が、政治家に求められている。

来春の実施が迫る「消費税率の引き上げ」に賛成する高校生は20%。昨年(24%)より賛成が減った。「原発に頼らずに電力を賄う社会を目指す」ことに賛成するのは39%。一昨年(47%)、昨年(43%)から減った。いずれの質問も賛否を簡単に出せないテーマだが、関心を持ち続ける努力はしてほしいところだ

将来の夢は・・・

 

将来の夢がある高校生は52%。回答者のうち2000 人が夢の内容を具体的に書いてくれた。一部を紹介する。

●ウエディングプランナーになって、たくさんの人が幸せになるお手伝いをしたい。(  1年女子)

●小学校か中学校の教師になって、周りの人に「この人と出会えて良かった」と思われ  る人になりたい。(1年男子)

●外国に行ってみたい。世界中が幸せになれるように何らかの形で貢献したい。(1年  女子)●家庭内の問題で逃げ場がない子どもたちを救ってあげたい。(2年女子)

●いろんな国の言葉をしゃべれるようになって、国に関係なく人を救いたい。(2年男  子)

●会社を立ち上げて、ブラック企業を買い取ってその企業のシステムを変えたい。働き  やすく、「金<客」な会社にしたい。(3年女子)

●温かい家庭を持って2人のかわいい娘とかわいい奥さんと一緒に幸せに暮らしたい。  (3年男子)

●大学卒業後、トレーナーになり10 ~ 20年しっかり学んだ後、自分でジムを経営する  。(3年男子)

●自分の考えていることや世の中のことを本や映画などにして人に伝えたい。(3年女  子)