経済の変化に対応できる人材を目指そう! 経済・経営学部の未来

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「失われた20年」という言葉を聞いたことがあるだろうか。バブル経済が崩壊した1991年以降、約20年にわたり経済が停滞したことを指す。デフレ(物価下落)になって消費者には喜ばしいが、働く人にとって仕事は増えても収入が伴わないという厳しい状況が続く。その一方で官民一体となったオールジャパンで海外へのインフラ輸出といった明るい兆しも見える。世界的な産業規模の拡大が続くなか、経済の変化に対応できる人材になるためには何を学べばいいか、新しい学びの分野が始まろうとしている。

1万8000円と8000円、115円と80円、200社と19社、140拠点と430拠点――。それぞれ何の数字か分かるだろうか?

順に日経平均株価、円ドル為替レート、新規株式公開した企業数、日本政策金融公庫調査による中小企業の海外拠点数で、前者は2000年前後、後者は2012年前後の値である。

2000年といえば、皆さんが5~6歳のころ。それから10年強の間で、日本の上場企業の時価総額は半分以下になり、30円以上も円高が進み、新規に株式公開しようとする元気なベンチャー会社は10分の1に減り、企業の海外拠点は3倍にも増えた。皆さんが実生活で変化を感じることは少ないかもしれないが、明らかに日本経済は変わった。

分かりやすい変化を挙げると、2000年頃はITバブルで、ブロードバンドが整備され、快適にインターネットが利用できるようになった。市場が成熟し従来型の老舗企業が低成長を余儀なくされるなか、IT系のベンチャー企業が続々と登場した。2008年9月はリーマンショック。不況になると簡単に契約を切られる製造業派遣やワーキングプアの問題が表面化したのも、この時期だ。そのころから日本経済は冬の時代に突入し、現在でも低迷を続けている。

しかし最近になって、日立製作所が英高速鉄道の事業を受注したほか、日本企業による台湾やアジア諸国での受注が増えている。官民一体で受注強化に取り組んできた鉄道のインフラ輸出が実を結んでいるのだ。

マクロ経済が安定成長している時代であれば、同じ仕事を繰り返す、同じものを安く大量に作る、同じサービスを提供するという仕事のやり方で企業も成長できた。しかしモノがあふれ、サービスが行き渡った成熟社会では、これでは通用しない。どの企業も、どうしたら消費者に受け入れてもらえるか、どうしたら顧客企業に採用してもらえるか、知恵を絞っている。

競争が激しい社会。各企業は競争を生き抜くため、経済、経営、情報、会計、金融、マーケティングなど多様な知識を持ち、かつ、自分の専攻分野に深い専門性がある人材を採用したがっている。現場ごとの特徴に応じ、柔軟に対応できる人材であれば、なお必要とされるだろう。

大学も、若い人を育てるため、いまの時代にどのような教育がふさわしいかを考え、対策を始めた。その一例に、経済学と経営学の融合がある。

ますます複雑化する経済・経営の現象を見極め、論理的なアプローチで現象を読み解くことができる新しい人材が必要とされている。そのため、経済学、経営学の基礎科目はもちろん、金融、財政、マーケティング、国際経営、リスクマネジメント、監査、人材管理、アジア関連の講座などの多彩な科目を用意している新しい学部や学科の設置が急務だ。

そして、学生が自分の将来の夢に近づけるよう、科目を選択したりコースを選んだりできるカリキュラムを整備しており、必要なのは特定の事象だけに詳しい専門家でなく、専攻分野を深く知りつつも、全体を見渡し、ときどきで適正な判断ができるジェネラリストだ。

いま、大学で経済や経営を学ぶ学生の多くは、即戦力として通用する社員や公務員を目指す人が多い。キャリアを積んでゆくゆくは独立し経営者にという夢を描く人もいる。また、税理士や中小企業診断士などの資格を取り、専門職に就く人もいる。経済、経営という学問は、より実社会に近いといえる。

さあ、皆さんも、新しい学部・学科で学び、経済の変化に対応できる人材を目指そう。

(2012年9月号より)

【経済】

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